ケーススタディ35「交差点を左折する際、横断中の歩行者に衝突」

☆事故の発生状況☆

4tトラックを運転するAは、道路が比較的閑散とした早朝時、荷を積むために近くの食料品倉庫に向かい、通い慣れた道路を走行していた。
交差点を左折しようと左後方を確認すると、交差点からかなり手前の歩道上をジョギングする目立たない服装のBを認めた。
Aは早めにウインカーを出し左折をしようとすると、二輪車が高速度で左後方より接近してきたのを認め速度を落とすと、二輪車も速度を落としたため停止状態で二輪車を先行左折させた。
その後Aは左折を開始し、ジョギング中のBはまだ近づいていないと判断し、左右を一瞬見ただけで横断歩道を横切ろうとした。
その時、信号が青のうちに渡り終えようと足を速めたBが横断歩道に進入し、Aは慌ててブレーキを掛けたが間に合わず、Bを前部バンパー左側で跳ね飛ばした。

☆事故の原因☆

① 早朝時で閑散とした道路状況に気の緩みが生じた
② 接近中の自動二輪車のみに注意が集中し、周囲の安全確認を怠った

☆防止策☆

トラックは「死角」部分が多いため、交差点では自転車や二輪車等の「交通弱者」が犠牲になる重大事故が多発しています。交差点通行時には交通弱者の通行を優先し、保護する防衛運転を心掛けましょう。
早朝は、比較的道路が閑散とし、スピードをだしている車が多く、運転が単調になり油断しがちです。また「暗」から「明」への境となる早朝時間帯は、眼に映る映像が鮮明でなく、人間の運動・判断機能ともに減退している時間帯といわれています。その状況がBを見落とす原因となったと推測されます。事故が発生すると重大事故となる可能性が高いので油断は禁物です。
Aは会社出発後わずか10分で事故を起こしています。運転開始後間もない時間に事故が多発していることを十分認識し、出発直後から警戒心を怠らない運転を心掛けることが必要です。また、通い慣れた道路で、交通状況に熟知しているつもりでも”慣れ”からくる気の緩みが事故の要因となる場合が多いので、十分気を付けましょう。