ケーススタディ25「バックの際に、後方を通過しようとした自転車と衝突」

☆事故の発生状況☆

普通貨物自動車を運転するAは、この日最後の配送先となるコンビニエンスストアでの納品を終えた。このコンビニは、駅前の商店・住宅の混在した一方通行道路沿いにあり、道路に面した部分が駐車場となっており、両側はブロック塀で囲まれていた。
Aは、このコンビニに荷物を搬入するときは、いつも一方通行路からバックで駐車し搬入していたが、その日は買物客の歩行者や自転車が多く混雑しており、前進のまま駐車していた。
納品を終えたAは、「今日はこれであがりだ。やれやれ」と思いながらバックで駐車場から道路に出ようとした時、ブロック塀越しに1 台の乗用車が接近してくるのを確認した。
運転席からサイドミラーで乗用車が通過するのを確認した後、バックギヤー(ブザー警報付)を入れ、アクセルを踏み左にハンドルを切りながらバックを始めた。
車体の後部が道路に出たその時、自車後方でゴツンと鈍い音がした。とっさにブレーキを踏んで降りて見ると、自車後方に主婦が自転車と一緒に転倒していた。

☆事故の原因☆

① 安易なバックによる後方の安全確認ミス
② 仕事を終えたあとのホッとした気の緩み

☆防止策☆

トラックによるバック事故は、工場の敷地内や事業所の駐車場、路外施設から道路に出るときに多数発生しています。 トラックは乗用車とは比較にならないほど後方の死角が大きく、それだけに危険を伴うのが特性です。この危険な特性をしっかり自覚するとともに、バックの際は次のような注意を必要とします。
・事前に車の周りや床下を確かめることを習慣づけ、安全を確保してからバックを始める。
・後方の安全確認はバックミラーだけに頼らず必ず目視で行う。
・目視できない部分の安全確認は、同乗者、関係者等に誘導を依頼する。
・周囲にいる人や車に気づかせるため、バックブザーは3 回以上鳴らしてから車を動かし始める。
・人の歩く程度のスピードでバックし、少しでも不安を感じたらすぐ停止、確認する。
事例のように道路外から道路に出るとき、特にバック時には、車道の車の流れに注意を奪われ、歩道等の歩行者や自転車を見落としがちになります。目視での確認はもちろんのこと、誘導依頼やバックブザー等を利用し、安全確保をおこなってから車を動かすことを職場で徹底してください。