ケーススタディ30「交差点を左折する際、二輪車を巻き込む」
☆事故の発生状況☆
11tの大型貨物自動車を運転するAは、昼間、交通頻繁な片側一車線道路を走行中、信号機のある交差点を青信号に従い左折する際、左前方の歩道を交差点方向に向かって進行中の歩行者を認めた。Aは、歩行者が横断歩道に進入するまでにはまだ間があると判断し、左折を開始することにした。
Aが左折する際、一旦左後方を注視したが、その時、後方からはBの自動二輪車が急接近中であったが、たまたま自車両の死角部分に入っておりAは気付かなかった。
Aは左後方は安全と容易に判断し、前方の歩行者のみに注意を向け、しかも十分に徐行もせず漫然と左折を開始したため、左方を併進中のBを見落とし、A車左側方にBの自動二輪車を衝突させ、左後輪で巻き込んだものである。
☆事故の原因☆
① 交差点を左折する際、徐行しなかった
② 左前方の歩行者のみに注意し、後方の安全確認を怠った
☆防止策☆
トラック等の大型車両が交差点を左折する際は、巻き込み事故の危険が特に高いことから、左折時は、自動二輪車等が左側方を走行しないよう、予め道路の左側に寄り、道路の左側端に沿って走行することが必要です。
トラックの場合、左折時に「内輪差」による巻き込み事故の危険が伴います。Aが運転する11tトラックのようにホイルベースが長い車両ほど、より一層危険度は高くなるため、トラックが交差点を左折する際は、「内輪差」の影響による巻き込み事故に十分注意することが肝要です。
トラックが交差点を右左折する際は、歩行者、自転車および二輪車等いわゆる「交通弱者」が被害に遭う交通事故が多発しています。
横断中の歩行者・自転車のうち、信号の変わる直前・直後の飛び出し、雨天時の傘差し、夜間の反射材不着用等が原因の事故
トラックが左折時に左側方併進中の二輪車を巻き込む事故、また右折時に対向車線直進中の二輪車との衝突事故
交差点でトラック事故が多発している現状から、右左折の際は十分に徐行し、脇見や見落としのないように安全確認を徹底することが必要です。