ケーススタディ58「大型トラックが横断歩道の自転車に衝突」

☆事故の発生状況☆

大型トラックを運転するAは、20年間無事故の模範ドライバーであった。
事故当日は、数箇所の配送を終え帰路につき、午後8時を過ぎた頃、自社まではあと僅か1kmとせまっていた。交通は比較的閑散としており、空荷の気楽さもあって、時折隣の助手と話を交わしながら幾分スピードを出して運転していた。
道路前方の状況は、右側反対車線に電気店とコンビニがあり、コンビニ前の路上ではトラックが駐車し荷降ろし中であった。
トラックの後方から来た軽乗用車は、右ウインカーを出し、トラックの右側に車線変更しようとしたが、横断歩道の手前で急停止した。
Aは対向車線の軽乗用車の急停止を目撃していたが、助手との話に夢中で、さほど気に留めることも無く漫然と前方に目をやり進行を続けた。
コンビニで買い物を済ませ出てきた自転車のBは、無灯火の自転車に乗り、いきなり横断歩道を渡り始めていた。
Bが駐車車両の陰の暗がりから、黒ずくめの服装で現れたのを至近距離で発見したAは、慌てて急ブレーキをかけたが間に合わず衝突、Bの自転車を撥ねてしまった。

☆事故の原因☆

① ベテラン無事故運転ドライバーの過信、慣れた道路での緊張感の薄れ
② 道路状況の読みと判断ミス

☆防止策☆

トラック事故の大半は、30歳以上、運転経験10年以上のベテランドライバーが起こしているというデータにもあるように、ベテランドライバーほど、事故を惹き起こしやすいことを認識し、「自分もそろそろ事故を起こす頃ではないか」と自問自答する位の警戒心を持って、注意することが肝要です。ともあれ、自信過剰こそ何より禁物です。
安全運転の大原則は、交通状況にしっかり目配りし、いち早く危険を認知、判断することです。慣れた道路での事故が多いことを十分認識し、意識的に注意力を旺盛にして安全運転を実践するようにしましょう。
夜間の運転では、運転視界が闇に閉ざされほとんどライトだけが頼りとなります。暗闇を横断する歩行者等の認知遅れや見落とし、見間違い等を起こさないよう、神経を集中し、周囲の動向を注意深く窺いながら、慎重な運転を心掛けましょう。