事故防止ケーススタディ

 
構内でのバック事故 構内から道路に出る際自転車に衝突
☆事故の発生状況☆ ☆事故の発生状況☆
保冷車を運転するAは、食品を納品するため荷主先構内において、プラットホームで荷降ろしを済ませ、次の配送先に行くため構内出入口に向かっていた時、別の貨物車が進入してきたので進路を譲ろうとバックした際、後方の駐車車両に逆突した。
大型トラックを運転するAは、スーパーの集積倉庫でその日最後の荷捌きを終え、帰路に着くところであった。事故現場の歩道付近は、塀の影になり一帯が暗く、また、強い雨が降っており、夜間という条件も重なって極めて視界の悪い状況であった。
Aが構内から片側1車線の道路に出る際、対向車線でトラックが構内へ入庫するために待っており、右方からは乗用車が接近していたことから、急ぐあまり一旦停止をせずに左折を開始した。
歩道には、雨の中を傘を差しながら片手で自転車を運転していたBが走行しており、Aは急ブレーキをかけるまもなく、Bに衝突した。
☆事故の原因☆ ☆事故の原因☆
① 後方の安全不確認
① 雨の日の夜間で、スーパーの出口付近は視界が遮られ見通しが悪い状況であったが、構内入庫待ちのトラックと接近中の乗用車に気をとられ、一旦停止、周囲の安全確認を怠った。
☆防止策☆ ☆防止策☆
  1. 貨物車の場合、後方が全く死角になることから危険も多く、どのような状況下でも後方の安全確認は絶対に欠かせません。
  2. 後退する際は、車から降車し自ら安全確認をするか、誘導員を付け後方の安全確認をすることが鉄則です。
  3. 貨物車が後退する時の危険を考えれば、多少の時間がかかっても後退する危険を避け、できるだけ前進する方法で荷物を運ぶように努めることが大切です。
  1. 夜間、雨天時は、運転に様々な悪条件が重なるので、慎重な運転に徹することが不可欠です。 ドライバーの視界が遮られるような状況では、交通弱者を絡めた重大事故の危険性が増します。安全確認を怠らず、前方注視を徹底するよう心掛けましょう。
  2. Aは、雨の中でのハードな作業が終わり、あとは通い慣れた道を帰路に着くだけということでホッとした気分になり、「気の緩み」が生じた状態で出発しました。そのことが、運転に慎重・冷静さを欠き、対向車線の構内入庫待ち車両や乗用車の動向を見て「急ぐべき」との安易な判断に結び付いたといえます。「気の緩み」は油断に繋がり、事故の危険が生ずるので注意が肝要です。
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深夜、路上駐車中に原付が追突 夜間、照明のない交通閑散な道路で横断歩行者に衝突
☆事故の発生状況☆ ☆事故の発生状況☆
普通貨物車を運転するAは、深夜、片側一車線道路に路上駐車し、取引先の工場へ搬送した小荷物を受渡ししていた。駐車車両の前方にはコンビニがあり明るかったが、後方は、付近に照明も無く暗くて見通しが悪い状態であったにもかかわらずハザードランプも点けず、停止表示器材も置いていなかった。そこへ、買物のためコンビニに向かっていた女子高生B運転の原付自転車が、ノーブレーキの状態で追突した。
普通貨物車を運転するAは、夜間、住宅街で交通閑散な片側一車線道路のやや急な下り勾配を、道路が暗かったにもかかわらず、急いでいたためスピードオーバーの状態で、遠方の街路照明だけに視線を向け、前方を注視することなく漫然と走行していたところ、暗がりの横断歩道上を、歩いて渡っていた高齢の女性Bを撥ねた。
☆事故の原因☆ ☆事故の原因☆
① 夜間、見通しが悪いのにハザードランプ等を点灯せず、また、停止表示器材を置かずに駐車
① 前方を注視せず漫然と遠方を見ていた
② 夜間、見通しが悪いのに急いでいてスピードオーバーになった
☆防止策☆ ☆防止策☆
  1. 工場内のスペースが狭く、車の出入りが面倒で短時間の駐車という事情があったとしても、駐車禁止場所で、しかも、後方からの通行の妨害となるような場所で駐車してはなりません。
  2. 駐車可能な場所であったとしても、夜間で付近に照明が無く、前方の見通しが悪い状況であれば、駐車中ハザードランプ等を点灯 し、また、停止表示器材等を置いて、駐車車両が後方から容易に認められるよう、危険防止の措置を取ることが必要です。
  3. 駐車車両に追突し重大事故となるケースが多いことから、路上駐車は要注意であり、特に、夜間やカーブ付近等、見通しの悪い場所での路上駐車は避けることが大切です。
  1. 事故前の道路環境は、幼稚園やコンビニがあり比較的に照明が整い、明るい箇所を通過した後すぐに暗い部分を通過しなければならなかった状況から考えると、人間の“目”は、直ちに「明」から「暗」の状態に順応できないことから、“目”が慣れるまで減速して走行すべきでした。
  2. 夜間、特に照明のない暗闇の走行は、危険性が高いため厳にスピードを減じて走行すべきであったのに、スピードオーバーは無謀運転だったといえます。
  3. 夜間は、ドライバーの見落としや見間違いが多いことから、前方の横断歩道に注意もせず、漫然と遠望していたことは、「不注意」、「油断」の一言では片付けられない注意力の欠如であります。
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薄暮時、交差点を右折する際、横断歩道を横断中の歩行者と衝突 交差点直進時の追突による人身事故
☆事故の発生状況☆ ☆事故の発生状況☆
普通貨物車を運転するAは、薄暮時間帯、片側三車線道路の右側斜線を走行中であった。交差点を右折する際、信号が赤であったことから、直前の普通乗用車とともに、右のウインカーを出して交差点の手前で停止した。
間もなく信号が青に変わったが、その時対向車線の状況は三車線とも渋滞し、車両は交差点手前で停止状態であった。
Aは、前方の乗用車が渋滞の中をスムーズに右折したのを見て、「危険はない」と即断し、やや薄暗かったのに周囲を警戒することもなく、ライトも点けずに漫然と乗用車に追従して進行したため、交差点手前で停止中の車両の陰から、小走りに横断歩道に進入してきた歩行者Bの発見が遅れ、急ブレーキを掛けたが間に合わずBと衝突したものである。
運転者Aは、電子関係部品の荷を積み配送先に向かう途中、時速約40 キロメートルで前車Bに続いて交差点を直進しようとした際、対向右折車Cがあったために危険を感じて、急制動の措置をとった前車に即応できず追突し、前車Bに全治1か月の重傷を負わせた。
☆事故の原因☆ ☆事故の原因☆
① 交差点を右折をする際、前車に漫然と追従し徐行しなかった
② 対向車線が渋滞中で、周囲に危険な「死角」が多かったにもかかわらず、安全確認を怠った
① Aの車間距離不保持と前方不注視
② Cの直進車進行妨害
☆防止策☆ ☆防止策☆
  1. トラックが交差点を右折する際は、対向車線の車両等の「死角」から急に飛び出してくる二輪車と衝突する、いわゆる「右直事故」が多発し、しかも重大事故となるケースが多いため、十分に徐行し状況により一旦停止して「死角」部分の安全をチェックして走行することが必要です。
  2. 薄暮時間帯は、人の姿や物、色等がぼやけてドライバーの眼に鮮明に映らないことから、小さな歩行者、自転車は見落とす危険が十分考えられます。薄暮時間帯は、前方注視を怠らないようにするとともに、早めにライトを点灯して歩行者・自転車等を早期に認知し、また、相手にも自己車両の存在を予知させる配慮が必要です。
  3. 対向車線が渋滞し、交差点手前で停止状態の時は、右折時に油断し漫然走行となりがちです。トラックの右左折はどのような状況下でも危険が多いことを十分認識し、常に警戒心を怠らないことが肝要です。
  1. 前車に追従するときは、「前車が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を保つこと」と定められている。
  2. 必要な距離とは停止距離を指し、路面の状況、車の性能、積荷の状況、速度、運転者の反応時間等その能力によって異なり、一律に決定することは大変困難である。
  3. 運転者として自己の運転技能、道路および交通の状況、積荷状況等を十分考慮して、先行車の行動に注意をはらい追従することが大切である。
  4. 具体的には判例や経験則から、
    (1)前車の位置に到達するまで2秒以上の経過時間(秒)を要する距離を保つ。
    (2)制動距離は、条件に差異があるが、おおよそ時速のキロメートルの2 乗を100 で除した数をメートルの単位に引き直した長さである。それに空走距離を加える。
    (3)60 キロメートル位までの速度のときは、その速度から15 キロメートルを引いた数字の距離。
    (4)高速走行は、速度メーターの指針以上の車間距離が必要とされる等の意見もあり、運転者がそれぞれ諸条件に合った安全な車間距離を保つことが必要である。
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