事故防止ケーススタディ

 
バックの際に、後方を通過しようとした自転車と衝突 構内からバックで出る際の原付自転車衝突事故
☆事故の発生状況☆ ☆事故の発生状況☆
普通貨物自動車を運転するAは、この日最後の配送先となるコンビニエンスストアでの納品を終えた。このコンビニは、駅前の商店・住宅の混在した一方通行道路沿いにあり、道路に面した部分が駐車場となっており、両側はブロック塀で囲まれていた。
Aは、このコンビニに荷物を搬入するときは、いつも一方通行路からバックで駐車し搬入していたが、その日は買物客の歩行者や自転車が多く混雑しており、前進のまま駐車していた。
納品を終えたAは、「今日はこれであがりだ。やれやれ」と思いながらバックで駐車場から道路に出ようとした時、ブロック塀越しに1 台の乗用車が接近してくるのを確認した。
運転席からサイドミラーで乗用車が通過するのを確認した後、バックギヤー(ブザー警報付)を入れ、アクセルを踏み左にハンドルを切りながらバックを始めた。
車体の後部が道路に出たその時、自車後方でゴツンと鈍い音がした。とっさにブレーキを踏んで降りて見ると、自車後方に主婦が自転車と一緒に転倒していた。
大型貨物自動車を運転するAは、積荷を配送センター構内に降ろした後、公道に出るためバックしていた。
この配送センターは敷地が狭いため、大型車両が頭から進入した場合は、Uターン等ができずバックで行動に出なければならないため、出入口にはセンターに出入りする車両の交通整理や誘導をするため、係員が常時勤務していた。
Aが車両を動かし始めたとき、係員は、道路上で待機中の他の車両の運転手と雑談中であり、Aはこの係員を待つことなく、自分で注意を払いながら後退を続けた。
やがて道路に差し掛かり、特段注意を喚起する声等も聞こえないことから、微速で後退を続けたところ、原付バイクに乗ったBに車両最後部で衝突してしまった。
係員は、Aの車両が出てきたときにA車の方に振り向いてはいたが、この時BのバイクはAの真後ろに位置し、係員からは全く見えていなかった。
☆事故の原因☆ ☆事故の原因☆
① 安易なバックによる後方の安全確認ミス
② 仕事を終えたあとのホッとした気の緩み_
① 後方の安全確認不十分
② 「大丈夫だろう」という軽視判断
☆防止策☆ ☆防止策☆
トラックによるバック事故は、工場の敷地内や事業所の駐車場、路外施設から道路に出るときに多数発生しています。
トラックは乗用車とは比較にならないほど後方の死角が大きく、それだけに危険を伴うのが特性です。この危険な特性をしっかり自覚するとともに、バックの際は次のような注意を必要とします。
・ 事前に車の周りや床下を確かめることを習慣づけ、安全を確保してからバックを始める。
・ 後方の安全確認はバックミラーだけに頼らず必ず目視で行う。
・ 目視できない部分の安全確認は、同乗者、関係者等に誘導を依頼する。
・ 周囲にいる人や車に気づかせるため、バックブザーは3 回以上鳴らしてから車を動かし始める。
・ 人の歩く程度のスピードでバックし、少しでも不安を感じたらすぐ停止、確認する。
事例のように道路外から道路に出るとき、特にバック時には、車道の車の流れに注意を奪われ、歩道等の歩行者や自転車を見落としがちになります。目視での確認はもちろんのこと、誘導依頼やバックブザー等を利用し、安全確保をおこなってから車を動かすことを職場で徹底してください。
  1. どんなベテランドライバーでも、後ろに目がついているわけではありません。まして、大型車両となれば、後方の死角はとても大きなものになります。バックの際の目視確認はとても重要ですが、このケースのように構内であり、まして誘導員が常駐している場合は、必ず誘導員の指示のもとで車を動かすようにしてください。
  2. ミラーでの後方確認は、事故を招くことが非常に多く、少しでも不安があるときは無理をせず、過信をせず、一旦停止や下車のうえの確認が必要です。「ゆっくり進んでいれば、相手が止まってくれるだろう。」という気持ちはあまりにも無謀といえます。常に事故を起こさない安全運転を心掛け、特にバックの際には最善の注意を払いましょう。
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赤信号を見落とし、衝突 交差点を右折の際、直進二輪車と衝突
☆事故の発生状況☆ ☆事故の発生状況☆
普通貨物車を運転するAは、寝坊したため配送先に遅刻しそうであり、朝食を採らずに家を出た。目的地へ向けて出発してから1時間くらい経過した頃、空腹を覚え、食事のことをぼんやりと考えながら運転をしていた。
いつもの走り慣れた道はまだ閑散としており、少し飛ばし気味に走行した。
やがて交差点に差し掛かったが、ぼんやりとしていたせいで信号が赤に変わったことに気付くのが遅れ、ブレーキをかける間もなく進入してしまい、左方向から走行してきた乗用車と衝突した。
大型貨物車を運転するAは、片側二車線の県道を右折するべく交差点に差し掛かった。
対向車線では、大型車が左折を開始し、わずかなタイミングで後続車両とは間隔があり、Aは左折車に続いて自分も右折できる。と思い、対向車線の安全確認もおろそかに、一気に右折を開始した。
対向左折車の後方死角にはバイクが走行しており、前走の大型車の左折を見て、追越車線に移動しながら直進を続けた。
Aは、左折車の動向とその先の横断歩道等、進路状況に視線が向いており、左折車の右側方からくるバイクに気が付くのが遅れ、自車左側にバイクを衝突させた。
☆事故の原因☆ ☆事故の原因☆
① 朝食を抜いたことによる体力、思考力、判断力の低下
② 走り慣れた道路での気の緩み、漫然運転
① 交差点での安易な判断による無理な右折
② 漫然運転による注意力の低下
☆防止策☆ ☆防止策☆
  1. 不摂生な日常生活は、運転にも悪影響を及ぼします。まず、睡眠や食事など生活習慣に注意し、体調を整えることが大切です。
  2. 慣れた道路であっても、適度な緊張感と心のゆとりを持ち、刻々と変化する交通の流れに合った運転を心がけましょう。
  1. 交差点は事故多発箇所であることを再認識し、細心の注意を払って進行することを心掛けましょう。
  2. 交差点を右左折する際は、安易な判断をせず、必ず一時停止して安全確認を行い、的確な状況判断をしましょう。
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構内から道路に出て左折する際に横断歩行者に衝突 交差点を左折する際、二輪車を巻き込む
☆事故の発生状況☆ ☆事故の発生状況☆
10トンの大型貨物自動車を運転するAは、取引先の事業所で荷物の積み降ろしを行ったが、予想以上に作業に手間取り気持ちに焦りが出ていた。
Aは、予定時間を過ぎ次の目的地へ向かうため、構内から出て道路を左折しようとした際、右方から直進中の乗用車を認めたが、左折は十分に可能と判断した。
Aは、焦りも加わり左側横断歩行者の確認を怠ったまま、漫然と左折を行った所、折から通行中の歩行者Bに気付かず衝突した。
11tの大型貨物自動車を運転するAは、昼間、交通頻繁な片側一車線道路を走行中、信号機のある交差点を青信号に従い左折する際、左前方の歩道を交差点方向に向かって進行中の歩行者を認めた。Aは、歩行者が横断歩道に進入するまでにはまだ間があると判断し、左折を開始することにした。
Aが左折する際、一旦左後方を注視したが、その時、後方からはBの自動二輪車が急接近中であったが、たまたま自車両の死角部分に入っておりAは気付かなかった。
Aは左後方は安全と容易に判断し、前方の歩行者のみに注意を向け、しかも十分に徐行もせず漫然と左折を開始したため、左方を併進中のBを見落とし、A車左側方にBの自動二輪車を衝突させ、左後輪で巻き込んだものである。
☆事故の原因☆ ☆事故の原因☆
① 急ぐあまり気持ちの焦り
② 左側方の安全不確認
① 交差点を左折する際、徐行しなかった
② 左前方の歩行者のみに注意し、後方の安全確認を怠った
☆防止策☆ ☆防止策☆
  1. 出発時間や荷作業の遅れが、急ぐあまり焦りを誘い事故の原因となります。安全運転は、時間に余裕を持つことが極めて大切です。
  2. 取引先の構内は、いつも通い慣れた場所であり、慣れから往々にして油断が生じることがあります。慣れから生じる油断に十分注意が必要です。
  3. 構内からの出入り時は、歩道通行中の自転車・歩行者が犠牲となる重大事故の危険がいっぱいです。歩道通行者の安全確認を徹底しましょう。
  1. トラック等の大型車両が交差点を左折する際は、巻き込み事故の危険が特に高いことから、左折時は、自動二輪車等が左側方を走行しないよう、予め道路の左側に寄り、道路の左側端に沿って走行することが必要です。
  2. トラックの場合、左折時に「内輪差」による巻き込み事故の危険が伴います。Aが運転する11tトラックのようにホイルベースが長い車両ほど、より一層危険度は高くなるため、トラックが交差点を左折する際は、「内輪差」の影響による巻き込み事故に十分注意することが肝要です。
  3. トラックが交差点を右左折する際は、歩行者、自転車および二輪車等いわゆる「交通弱者」が被害に遭う交通事故が多発しています。
    • 横断中の歩行者・自転車のうち、信号の変わる直前・直後の飛び出し、雨天時の傘差し、夜間の反射材不着用等が原因の事故
    • トラックが左折時に左側方併進中の二輪車を巻き込む事故、また右折時に対向車線直進中の二輪車との衝突事故

交差点でトラック事故が多発している現状から、右左折の際は十分に徐行し、脇見や見落としのないように安全確認を徹底することが必要です。

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